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2006年、代表取締役年頭挨拶
マツケンサンバを踊る犬を撮影中の笹邊
                   (NTV ニュースプラス1取材時の写真から)

株式会社千里ビデオサービス 代表取締役 笹邊幸人
 

新年あけましておめでとうございます。
皆様方には平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。2006年の年頭にあたり、本年の抱負とこれからの業務展開について申し述べさせていただきます。

 都市圏では地上波デジタル放送も本格化し、デジタルケーブルテレビとの連携によりかなり一般化してきたようです。また大型ハイビジョンテレビの普及が地上波デジタル放送普及の追い風になっている状況です。年末の紅白歌合戦、レコード大賞などをハイビジョンで楽しまれたご家庭もたくさんあったのではないでしょうか。そしてこの地上波デジタル放送も本年末までには県庁所在地等主要都市において順次放送が開始されます。いよいよアナログ放送の電波が停止する2011年7月へ秒読み段階に入ったといえるでしょう。またNHKのアナログ・ハイビジョン放送が2007年11月30日に停波し、新たに家電量販店大手ビックカメラの子会社「日本ビーエス放送」、東北新社などが出資する映画専門の「スター・チャンネル」、三井物産の子会社「ワールド・ハイビジョン・チャンネル」などが新規参入することになりました。少しずつですがプラス材料が見えてきた感じもします。

 政府・日銀が八月に表明した景気の「踊り場脱却宣言」の効果もあり、株価も一時期のバブルの様相を見せています。昨年の弊社の仕事内容、量とも一昨年を大幅に上回り、確かに景気の回復を体感しています。とはいえ、踊り場脱却と言うのは早過ぎるとの見方も正しい判断でしょう。過去に私達が経験し学習したバブル〜バブル崩壊へのシナリオは決して再演してはなりません。

 昨年も様々な事件、出来事がありました。普通の人が数億、数十億のお金を動かし、普通の人間が犯罪者となり、普通の人間が被害者となっています。普通ということの定義など無い時代といえるでしょう。ニュースを振り返って、笹邊の印象に残っていることを少しピックアップしてみます。
 1月:青色発光ダイオードの発明対価訴訟で、日亜化学工業が発明者の中村修二氏に約8億4千万円を支払うことで和解が成立。企業内研究者の功績が訴訟という形ではあったものの、企業の中で研究する者には大きな光をもたらしたと評価しています。また同月、NHKで相次いだ不祥事の責任をとって海老沢会長が辞任したことも印象深い出来事でした。
 2月:ライブドアがニッポン放送の株式35%を取得して同社の筆頭株主となったこと。株式公開の恐ろしさが浮き彫りになりました。また同月に中部国際空港が開港 しています。南セントレア市など、滑稽なニュースが流れました。
 3月:磁気浮上式リニアモーターカーが愛知高速交通東部丘陵線で開業したことは鉄道ファンには大きな出来事でした。そして「愛・地球博」(愛知万博)が開催されました。昨年は名古屋景気といわれるように中部地方は燃えていたようです。弊社にも愛知万博関連の仕事がありました。またソニーが出井伸之会長兼CEOの退任とハワード・ストリンガー副会長の会長昇格を明らかにしました。日産の社長にカルロス・ゴーンさんが就任したときのようなシナリオを期待しているのかと思った人も多数いたのではないでしょうか。
 4月:銀行のペイオフが全面解禁となりました。脱デフレには効果的な出来事かもしれません。そしてJR福知山線脱線事故が起こりました。死者107名、負傷者460名のJR史上最悪の大惨事となり、弊社にも報道取材の要請がありました。亡くなられた方々、負傷された方々に心が痛みます。
 5月:北朝鮮が日本海に向けてミサイルを発射。北朝鮮が同型と見られるミサイルを発射したのは2003年10月、2004年6月に続き三回目であり、さらに遡れば1998年に三陸沖にテポドンを打ち込んできています。いまさらながら「何を考えているやら、あの国は」です。極東の駄々っ子でしょうか。この月、埼玉県の農道でガードレールに差し込まれた金属片で中1男子が負傷。以降全国各地のでガードレールにて金属片が見つかりました。この怪奇現象は後に車の接触によるものと断定されました。 また知床の世界遺産登録が同月に確定しています。
 6月:スティーブ・ジョブズがWWDC2005の基調講演において、MacにIntelのCPUを採用することを発表しました。これはコンピューターに携わるものにとって衝撃的なニュースでした。
 7月:東京で震度5強の地震が発生しました。笹邊の従姉妹が偶然東京タワーにいたときで大揺れだったそうです。無事で何よりでした。
 8月:郵政民営化関連法案が参議院で否決し、小泉首相は衆議院を解散しました。
 9月:衆議院議員総選挙。自民党の圧倒的勝利になりました。
10月:日本道路公団を始めとする道路4公団民営化で株式会社になりました。
11月:紀宮様がご成婚されましたが、世の中を揺さぶったのは耐震強度データの偽装発覚でした。
12月:Jリーグ1部でガンバ大阪が初優勝。笹邊が日本代表インタビューを撮っている時とは違う宮本選手の姿がありました。ジェイコム株の誤発注事件が日本中を駆け抜けました。泣いた人、笑った人、悩んだ人、様々でした。また、厚生労働省が2005年は統計開始以来初めて日本の人口が自然減少となる見通しと発表しました。年金社会に重い不安感をもたらす数字です。そして昨年の最終の大事件は12月25日の羽越本線での特急電車脱線転覆でした。他にも語るにはあまりにも凄惨な事件が多数起こりました。
 昨年に起こった事件、事故を見て感じたことは人のいきざまです。
 幼くして突然命を奪われた児童たち。授かった命を自ら絶った人々。人災ともいえる事故で突然奪われた命。極普通の生活を送っていた者が時として凶悪な犯罪を犯しています。命を奪われた人々にはそれぞれのいきざまがありました。犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈りします。

 様々な技術革新により、私達が使用する機材が高性能、低価格化したことは非常に喜ばしいことです。そしてコンピューターやITが進むことで映像制作の世界に誰もが簡単に参入可能な時代となりました。ではそこで私達プロフェッショナルに求められるものとはいったい何なのでしょう。確実さ、安心感といったものがそうでしょうか。たしかにそれは必須の項目には違いありません。しかし若いクリエーター、素人と言われる人たちのセンス、アイデアはプロフェッショナルを凌駕するものがあります。
 そういった環境で私達が提供できる新たなアイテムとは「いきざま」ではないでしょうか。事象と対峙して映像(動画、写真)を撮影する場合、もちろん結果としての作品が第一で、これが私達の「生きる糧」です。しかしその時、その瞬間、事象と対峙するキャメラマンが何を感じるかが大切だと思います。キャメラマンが撮影する行為において何を経験し、何を感じ、何を思うかということがまさにキャメラマンの「いきざま」ではないでしょうか。

 昨年末に「プロジェクトX」が最終回を迎えました。団塊の世代の終わりを告げるかのような最終回を見て様々な思いが巡りました。技術職を長くやっていると「勘」のいい人、良くない人を見分ける力が付いてきます。「出来る人」が便利なことは確かです。しかし大事な事は「仕事への取り組み方」ではないかと思います。先日ウリナリ社交ダンス部の杉本彩さん、小池栄子さん達によるブラックプールでの社交ダンス選手権を見ました。結果は残念でしたが、大会に向けての練習は鬼気迫るものでした。その姿に感動しました。

 「成功とは結果ではかるものでなく、それに費やした努力の統計ではかるべきである」という言葉をくれた人がいます。2006年に笹邊が求めるものは高価な機材や編集室ではありません。作品に挑むキャメラマン、スタッフの「いきざま」です。もちろんハイビジョンキャメラのHDCAM、VARICAM、HDVはデジタル化する映像制作の骨格を成す機材ですが、それらを使いこなす人間の「いきざま」が作品の良し悪しを決定付けるのではないでしょうか。創る者が感動してこそ、見るものに感動を与えられるということを2006年のテーマとし、お客様から信頼頂ける企業を目指し、お客様に喜ばれる技術を提供してゆく所存です。皆様には今後も千里ビデオサービスをお引き立て賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

2006.1.1箕面にて

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