安全衛生対策
ヘルメット
野外、屋内を問わず、撮影現場には様々な危険が待ち受けています。技術会社が高度なテクニックを兼ね備えていることは当然ですが、それにもまして望まれることは「現場で事故を起こさない」ということです。
ここでは撮影現場での安全対策について説明します。

バケットに乗ったの千里
野外撮影では高所作業車を度々利用しますが、操作にはクレーン免許を持ったオペレーターが必要です。
また公道での使用には所轄警察署への「道路使用許可」の申請、そして片側通行になる場合は交通誘導員の配置も義務づけられています。
長野ロケ、キャメラマンは千里
作業中の高所作業車
オペレーターのT氏
オペレーターのT氏は素晴らしいクレーン操作でキャメラワークをサポートしてくれます。氏のクレーンワークは「歴史街道」等のオンエアでもご覧いただいているかと思います。
高圧線には養生を依頼します

スタッフのH氏
スカイボーイ
右は撮影専用の高所作業車「スカイボーイ」です。軽自動車をベースに作られ、狭い路地でも使用可能。バケットが安定するように工夫されています
大阪府防災訓練中継現場
ヘルメット&安全帯持参のH氏
ヘルメットと墜落防止の安全帯は高所作業の必需品です。右はバケットにクランプした状態です。
バケットに取り付けた安全帯
H氏の腰についた安全帯

ルーフキャリアでの撮影 車の屋根に取り付けられたルーフキャリアは撮影台として利用しますが、アウトリガーが無い車の場合は揺れ防止のため、特殊ブロックとスぺーサーで安定を確保します。
安全対策だけではなく、収録画像の安定にも多大な効果をもたらします。
大阪府防災訓練中継現場と長野県塩尻市ロケ現場
四輪駆動車 特殊ブロック

ホールでの安全対策
30Aのブレーカー 大きなシステムを組む場合は電源の容量にも安全確保のために余裕が必要になります。システムの消費電力が1kWを越える場合は壁コンセントは避け、必ずC型コンセントから供給します。
C型の場合は30Aまで供給可能です
C型コンセント
電源コンセントを延長する場合にはコードリール(電ドラ)を用いることがあります。この場合定格容量に注意しなくてはなりません。コードがリールに巻かれている状態での定格容量は1/3以下に落ちてしまいます。コードが巻かれたまま延ばした時の定格電流を使用すると発火し、火災を起こします。また、屋外で使用する場合は防雨型のコードリールを使用しなくてはなりません。
労働安全衛生規則第337条「事業者は、水その他導電性の高い液体によって湿潤している場所において使用する移動電線又はこれに附属する接続器具で、労働者が作業中又は通行の際に接触するおそれのあるものについては、当該移動電線又は外装が当該導電性の高い液体に対して絶縁効力を有するものでなければ使用してはならない。」
コードリールの間違った使用例 コードリールの注意書き

ホール等の公共施設で撮影を行う場合は一般客に対する安全の配慮を最優先しなくてはなりません。万が一を考え様々な安全対策を施した上で撮影を行います。

左は客席内のケーブル処理ですが、引き回しはコーナーを利用して行い、出入り口は天井側(飛ばす)を通しますが、どうしても客導線の床を横切る場合は必ず養生を施します。

さらに二階席等へのキャメラ設置は落下防止の対策を行います。
落下はキャメラだけではなく、レンズやファインダー等の付属品にも施す必要があります。千里ビデオでは登攀用のスリンゲ(シュリンゲ)を利用しています。
安全確保された二階席のキャメラ

砂袋とカウンターウエイト
ライトスタンド等を立てる場合は転倒防止に努めなくてはなりません。
砂袋やカウンターウエイト等をスタンド下部に付けることで風や接触によるスタンドの転倒を予防できます。
下の写真はそれぞれの使用例ですが、これらは照明機材の必需品です。
砂袋の使用例
カウンターウエイト使用例

北海道ロケでの照明スタンド設置例
照明設置中3
照明設置中1 照明設置中2

一瞬の気のゆるみが大きな事故につながってしまいます。慣れた現場ほど初心を忘れず、危険を予測した工夫、配慮が必要です。