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SHF帯無線伝送によるライブ中継

 東京ビッグサイトで開催された「大阪ビジネスEXPO 2008」の現場紹介です。
昨年マイドーム大阪で行った「ビジネスマッチング博2007」ではケーブルの付いたキャメラで中継を行いましたが、今回は会場が広いので、入場者の導線をケーブルがよぎらないようにSHF帯のトランスミッターを用いた無線伝送による中継を行いました。
 本番は2008/5/22〜23日で、我々は20日に大阪を出発し東京に前泊、21日朝から仕込みリハーサルという段取りです。
会場ではすでに立込がほぼ完了し、舞台さんが入り口の装飾を行っていました。
 今回使用したキャメラはナショナルのDVCPRO50のカムコーダーAJ-SDX900です。アスペクトは16:9でカムコーダーのV座にSDIトランスミッター、バッテリー、ラムサB帯ラジオマイクのレシーバーを取り付けています。レンズはもちろんショートズームを使用します。

現場に構築したブースはいつも通りのセットですが、無線関係の機材が増えています。
 トランスミッターにはSDIで映像、音声が入力され、MPEG2にエンコードして伝送されます。レポーターのマイクはキャメラに装着したレシーバーで受信してカムコーダーのCH-1に入力しています。CH-2にはカムコーダーの鼻マイクを入れて環境音とします。
 ベースにセットしたレシーバー。トランスミッターでMPEG2にエンコードして伝送し、レシーバーでデコードしてアナログ映像信号と音声に分離されます。そのため、伝送されてきた信号は実時間より1/3秒ほど遅くなります。映像と音声の遅延はありませんが、ライブからの遅延が問題になる中継(ステージ上に送出スクリーンが設置された部隊や音楽もののマルチカム中継等)では使用できません。
 受信用のアンテナ。広い会場を見渡せる位置に設置しています。大きさは非常に小さく、設置は至って簡単です。ダイバシティー方式のためアンテナは2本になります。
 SHF(2.4GHz)の極超短波の信号はアンテナと一体化されたヘテロダインユニットにより同軸ケーブルで伝送可能なUHF帯に変換されます。これは衛星放送のアンテナと同じ考え方です。
 レシーバーのインジケータ。IF(中間周波)の電界強度、使用中のアンテナが表示されます。周波数は2400MHz帯を10Mステップ、1Mステップで選びます。電波の占有帯域が8Mと広いため、同エリアでは7回線がリミットだと思います。

 今回はソニーのトランスミッターをナショナルのカムコーダーに装着したため使用できなかったのですが、ソニーのカムコーダーや中継キャメラではインカム、タリーなどが使用できるようです。

 伝送されてきた映像信号です。デジタルのお陰で、電界強度が下がった場合も画質低下はありませんが、デコードの限界まで落ちると画面がフリーズします。会場の障害物や、デッドエリアの綿密な調査が大切です。
 リハーサル中のMキャメラマン。「昼時日本列島」や「ゆく年くる年」、そして数々の生中継を行ってきたベテランで、1キャメラでの中継も得意です。

 CH-1の音声をイヤホンでモニターしながら話に合った映像をテキパキと作っていきます。

 映像が無線でインカムが有線では洒落になりません。インカムはタムラデジタルワイヤレスを使用しました。本体のインカム端子(笹邊用)と子機4台を使った5系統の同時通話が出来ます。
 インカムのベースに差し込んだキャノン端子はCH-1の送り返し用です。右の110プラグは笹邊のインカムです。
 ライブ中継でいつも使っているナショナルのAW-SW350です。フレームシンクロナイザーを5回路内蔵していて、アナログSDでは大変便利です。もちろんジェンロックをかけたFSを通さない高画質モードも選べますが、非同期の信号が混在する現場では内蔵FSを使用します。またFSの性能が高いのでメモリーによる1フレームの遅延を気にしなければ画質が問題になることはありません。
 本番日の開会式テープカットです。開会式前は会場の外からの中継ですが、通信のクォリティーは非常に高いものでした。

 上がプログラムモニター、右上がプレビューモニター、下左から無線中継本線、補助回線、収録VTR(再放送はこれがソースになります)です。プログラムモニターの左はインカムと同じタムラの収録用ミキサーTS-4000Sです。

 収録及び送出のVTR。送出用のミキサーはYAMAHAのMGシリーズです。
 会場各所に設置された40インチモニター。今回は出展者の内、抽選で選ばれた約70社の中継を行いました。

 大勢の入場者が行き交うイベント会場ではワイヤレスカムは大変有効だと言うことを改めて実感した「大阪ビジネスEXPO 2008」からの中継でした。

 イベント終了の1時間前からクローズまでの間も収録した映像を再放送し、生出演された出展者の方にもご自身の映像をご覧頂きました。

 この他にも千里ビデオサービスではアナログ方式による無線ライブ中継、また中継車を使ったハイビジョン収録など、お客様のご要望に沿った様々な現場を提供しています。お気軽にお問い合わせ下さい